クタクタに疲れて帰宅して、あとは寝るだけ。「今日も頑張った」とベッドに倒れ込んだのに、なぜか意識だけが冴え渡ってしまう……。
そんな経験はありませんか?
体は鉛のように重いのに、頭の中だけが高速回転しているような感覚。
時計の針が深夜1時、2時と進むにつれて、「早く寝なきゃ」という焦りだけが募っていくあの時間は、本当に辛いものですよね。
筆者も普段、デスクワークの合間にダンスやピラティスで体を動かすようにしていますが、「体を動かしたからぐっすり眠れるはず」と期待して布団に入った日に限って、全く眠れず朝を迎えることがあります。
実はこれ、あなたの体が「休息の下手な状態(過覚醒)」に陥っているサインかもしれません。
今回は、忙しい女性を悩ませる「疲れているのに眠れない」現象の正体と、今夜からできる「強制シャットダウン(スイッチオフ)」の方法について、Recovery Labの視点でお伝えします。
(※無理に眠るのではなく、パソコンの電源を落とすように脳の興奮を静めるイメージです)
「疲れているのに眠れない」の正体は“過覚醒”だった:自律神経と睡眠の関係
本来、私たちの体には「恒常性(ホメオスタシス)」という機能が備わっており、起きている時間が長く活動量が多いほど、夜には自然な眠気(睡眠圧)が訪れるようにできています。
それなのに眠れない。
この矛盾を引き起こしている主な要因は、自律神経のバランスが崩れ、睡眠モードへの切り替えがうまくいっていないことにあります。
私たちの体をコントロールする自律神経には、ざっくり分けてこの2つの役割があります。
- 交感神経:活動モード(アクセル)
- 副交感神経:休息モード(ブレーキ)
本来であれば、夜になるにつれて自然とブレーキがかかるはず。
しかし、現代の忙しい女性は、寝る直前までアクセルが踏みっぱなしになっていることが多いのです。
これは例えるなら、「高速道路を時速100kmで走った直後に、急ブレーキで車庫入れしようとしている」ようなもの。
体(車体)は止まりたがっているのに、エンジン(脳)がまだ唸りを上げている状態です。
これを専門用語で「過覚醒(かかくせい)」と呼びます。
交感神経が優位な状態が続いているため、あなたの意思とは裏腹に、体が「お休みモード」に入りきれていないのです。
寝る前に興奮して眠れない?脳が休まらない2つの隠れ原因
では、なぜアクセルが戻らないのでしょうか?
筆者の体験も交えながら、現代女性が陥りやすい、寝る前に脳が興奮してしまう2つの「隠れ原因」を見ていきましょう。
① 「楽しむこと」でも脳は興奮する(デジタル・エンタメ疲労)
「仕事のメールは見ていないし、リラックスしているはず」
そう思っていても、脳が覚醒していることがあります。
筆者自身の失敗談ですが、こんなことがありました。
仕事が早く終わった夜、「たまには息抜きをしよう」と友人に借りたゲームをしたり、気になっていたアクション映画を観たりして過ごしました。
内容はとても面白く、ストレス発散になったと感じていました。
しかし、いざ布団に入ると、なかなか寝付けないのです。
- ゲームの映像や映画の激しいシーンが、まぶたの裏に焼き付いて離れない
- 興奮で心臓のドキドキがなかなか収まらない
- 楽しい余韻がいつしか妙な焦燥感に変わる
「楽しい」「面白い」という感情も、脳にとっては強い刺激(アクセル)になります。
特に視覚的な刺激の強いコンテンツは、脳を緊張状態に近いモードにしてしまうことがあります。
「ストレス発散」のつもりが、睡眠にとっては「寝る直前に濃いカフェインを飲んだ」のと同じような状態になりやすいのです。
寝る直前まで強い光や情報を浴び続けることは、私たちが思っている以上に、自律神経の切り替えに時間がかかってしまうことがあります。
② エアコン環境による「冷え」と「緊張」
もう一つの原因は、睡眠環境の温度と湿度です。
私が現在住んでいる地域(マレーシア)は常夏で、日本の真夏のような気候が一年中続きます。そのため、夜間のエアコンは必須です。
「暑いよりは涼しい方が眠れるだろう」
そう思ってエアコンをつけて寝るのですが、これが意外な落とし穴でした。
もし次のような状態になっていたら、それは体が冷えすぎているサインかもしれません。
- なんとなく手足が冷えすぎて寒さを感じる
- 喉や肌の乾燥が気になって夜中に目が覚める
- 無意識のうちに布団を強く握りしめている
人は、深部体温(体の中心の温度)が下がっていく過程で眠気を感じます。
しかし、エアコンの風が直接肌に当たったり、室温が低すぎたりして体が「寒い」と感じると、体は防御反応を起こします。
体温を逃さないように血管をギュッと収縮させ、筋肉をこわばらせる。
つまり、寒さから身を守るために、交感神経が優位になりやすくなってしまうのです。
「暑いから冷やす」だけでは不十分。
「快適な温度と湿度をキープし続ける」ことの難しさが、睡眠の質に影響している可能性があります。
自律神経を整える鍵は「安心感」。今夜から試せるRecovery Labメソッド
では、どうすれば踏みっぱなしのアクセルを緩め、ブレーキを踏むことができるのでしょうか。
薬などに頼らず、体の仕組みを利用した3つのアプローチをご紹介します。
1. 脳のメモリを開放する「書き出し(ジャーナリング)」
布団に入ってから「あれやらなきゃ」「今日のあの発言、大丈夫だったかな」と考え事が止まらなくなる方におすすめなのが、寝る前の「書き出し」です。
方法は簡単。ノートとペンを用意し、頭に浮かんでいることをすべて書き出すだけです。
ToDoリストでも、不安な気持ちでも、ただの愚痴でも構いません。
脳には「ワーキングメモリ」という作業台のような領域がありますが、悩みやタスクでここがいっぱいになっていると、脳はずっと処理を続けてしまいます。
紙に書き出すことで「これはもう記録したから、忘れても大丈夫」と脳に教える。
これだけで、パンパンだったメモリが解放され、脳が休息モードに入りやすくなります。
2. 「触覚」から脳へ安心感を送る(リカバリーウェアの活用)
思考を止めるのが難しい時は、「触覚」からのアプローチが有効です。
ここで役立つのが、最近注目されている「リカバリーウェア」や、肌触りの極上なパジャマです。
筆者も実際にリカバリーウェアを生活に取り入れていますが、初めて袖を通した時の感覚は今でも覚えています。
普通のTシャツとは違う、とろけるような肌触りに包まれた瞬間、「ホッ」と肩の力が抜ける感覚がありました。
特に、先ほどお話しした「エアコンによる冷え」が気になる環境では、このウェアが強い味方になります。
高機能なリカバリーウェアの多くは、吸湿速乾性や保温性に優れており、エアコンの冷たい風から肌を優しく守ってくれます。
また、製品によっては遠赤外線作用のある鉱石などが繊維に練り込まれ、「一般医療機器」として届け出されているものもあります。これらは着用することで血行促進や疲労回復をサポートする仕組みになっていますが、何より大切なのは「体が守られている」という安心感です。
(※着用感や効果の感じ方には個人差があります)
「パジャマなんて何でもいい」と思わずに、自分をいたわる「休息服」に着替えてみる。
その行為と肌触りが、脳に「これからは休む時間だよ」と伝えるスイッチになります。
3. 深部体温のコントロール
お風呂(入浴)も、自律神経のスイッチを切り替える強力なツールです。
理想は、寝る90分前にお風呂に入ること。
- 38〜40度くらいのぬるめのお湯に15分ほど浸かる
- 入浴効果で深部体温が一時的に上がる
- お風呂から上がって90分ほど経つと、体温が急激に下がる
この「落差」が、自然な眠気を誘うきっかけになります。
もし忙しくてシャワーだけで済ませたい場合は、首の後ろや足首など、太い血管が通っている場所を重点的に温めてみてください。
それでも眠れない夜に。「眠ろうとしない」という選択
色々な対策をしても、どうしても眠れない夜はあるものです。
そんな時に一番良くないのは、「眠らなきゃ!」と自分を追い込んでしまうこと。焦れば焦るほど、交感神経は高ぶります。
もし眠れなくても、「目を閉じて横になっているだけ」で、体は十分に休まっています。
視覚情報を遮断し、体を水平にするだけで、臓器や筋肉への負担は軽減されているのです。
「今日は眠れなくても、体を横たえているからOK」
「明日のパフォーマンスが少し落ちても、なんとかなる」
そうやって開き直ってしまうことが、結果的にリラックスを生み、いつの間にかスッと眠りに落ちていることもあります。
※もし、どうしても辛い状態が何週間も続き、日常生活に支障が出るようであれば、無理をせず医療機関に相談することも一つの選択肢です。
編集後記:自分を許す時間を
真面目で頑張り屋さんな人ほど、「睡眠」さえも完璧にこなそうとしてしまいます。
でも、眠れない夜があるのは、それだけあなたが日中、何かに情熱を注ぎ、活動的に生きていた証拠でもあります。
今夜はスマホやゲームを少し早めに置いて、肌触りの良いウェアに着替えてみてください。
そして、泥のように眠るあの深い心地よさを、あなたの体が思い出せますように。
Recovery Labでは、忙しいあなたの「休息」の質を高める情報を、これからも発信していきます。
